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キレイでユニークな女子ビジネス

「ほっとしてもらえるものづくりを」KAKURA:石原ゆかりさん



自分たちの器を見定めながら製作

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ー もっと宣伝すれば売り上げが伸びるのでは?

パーっと風呂敷を広げて、どんどん売りますとしてしまうのは、そもそもの思いとは違うと思っています。やりたいデザインを実現させるには、ひとまず製造の「キャパシティ」というのが出てきます。

自然な流れの中で少しずつ話が広がってきて、「これくらいだったら今話が来ても受けられるかな」というように、自分たちの器を見定めながらコンスタントにずっと作っている感じです。

ものづくりは、自分達が作れるからいくらでもというわけじゃなくて、その先に材料を提供してくれる革屋さんがいて、紙屋さんがいて、竹屋さんがいて、それぞれとの関係で生産が成り立っています。業者さんにもキャパシティがあるからです。

有名ブランドの場合は量が違うので、材料は優先的に確保してもらえますが、KAKURAのように小さな規模だと、それなりのボリュームで「お互いに調度いい距離感」でやっていく必要があるんです。無理を言うと向こうにひずみが出ると思いますし。その辺の兼ね合いは、10何年間かかって積み上げてきたものがあるので、無理も少し聞いてもらえるようになりました。

ー 業者にもそれぞれ事情があるんですね。

特に竹屋さんは、年々職人さんがいなくなるために注文が難しく、作りたくても竹がもう手に入らなかったり、かなり待たされたり、注文が取れなかったりということがあります。紙も廃盤が出たりと、良い素材が減ってくると、それまでの高いクオリティの製品を作ることが難しくなります。竹綴じカレンダーは、紙そのものがもう入りません。来年製造の分までストックしていますが、製紙メーカーの問題でどうすることも出来ないんです。10何年間ずっと使い続けてくださっている方もいますが・・・だからそれに代わる次の商品を考える必要性が出てきます。

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中途半端なクオリティのものだったら幾らでも作れるのですが、クオリティをシビアに考えると大量に作るのは難しいですね。でもそのこだわりの部分を崩すとやっている意味が無いと思うんです。KAKURAのものづくりの重要な部分ですね。

ー クオリティへのこだわりですね。

そういう意味で私は経営者向きではないと思います。営業がいれば違ってくるかも知れませんが、ずっと一人でやってきたのでこういう形態になっています。男性は5年後、10年後を考えて将来的な計画を立てるかもしれませんが、私の場合は、本当にモノと向き合いながら作っているうちに、少しずつ、作りたいものが出来てきて、自然に今の状態になってきています。

安く製造すればいいのでは?という考えは、ものづくりとは合わないと思っています。

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ー 安かろう、悪かろう、になるのでしょうか。

10年以上前に家族で製作していた時に「うちは原価が抑えられるから東南アジアで作らせている。そういうものを作ったほうがいいのでは?」と言う人がいました。でも、安いところで作らせて高いイメージの場所で売っても色々とトラブルが生じるみたいで、そのお店は続かなかったようです。

自分達だけ良かれと思っていると、結果そうなってくるような気がするんです。国内生産で技術を持っていないといずれは自分の首を絞めることになるのではないでしょうか。どれだけ我慢できるかというところもありますが。お客さんがものを選ぶときは、ストーリー等を考えずに可愛い等と思うのが一般的ですが、作り手自身が表面的なことに囚われすぎるのは、どうなのかなと思っています。